2015年08月29日

【バルフィ!人生に唄えば】

《★★★★★》

耳の聞こえない青年、資産家の娘、自閉症の幼馴染の少女。この三人の恋模様を描いた切なくも美しい感動作品。

耳の聞こえないバルフィは、ある日3ヶ月後に結婚を控えている美しい娘、シュルティと出会う。
心奪われたバルフィは猛アタックを開始。戸惑いながらもバルフィの不思議な魅力に徐々に惹かれ始め、恋に落ちる。
ところが裕福な結婚を望む母の反対にあい、シュルティは自分の心に嘘をつき婚約者の元へ。
激しくシュルティに手話で伝えるが、結局は去って行く。

数年後、運命のいたずらか。結婚は失敗だったと悲しむシュルティとバルフィが再会する。
だけど、その時にはすでにバルフィは幼馴染みのジルミルと共にいた。この二人、実は誘拐犯と被害者で逃亡中。
この誘拐もあれよあれよ、と事が進んでしまったんだけど、実はジルミルの祖父が彼女に譲った遺産目当てに父親が仕組んでいたもので、そうとは知らずにバルフィも絡んでしまっていた。

そんなこととも知らずに、バルフィのそばににるジルミルに激しく動揺するシュルティ。
このトライアングルが切ない。バルフィを思い続けるシュルティ、そのバルフィがなにかと自分を気にかけてくれてる。
そして、そんな二人に嫉妬するジルミル。シュルティはそんな彼女の気持ちに気付きながらも、バルフィから目を離せない。
そして運命は悲しい方向へと大きく動いていく。

二人に嫉妬したジルミルが姿を消した。

そして有力者であるジルミルの父親と結託している警察は、ジルミルの遺体発見、犯人はバルフィという筋書きで捜査を進めようとしていた。そこへ誘拐のことも知らないシュルティからジルミルの捜索願が出され、複雑に糸は絡み合っていく。
警察に追い詰められ、尋問されるバルフィ。

長年バルフィに振り回され続けてきた署長がそっとシュルティにささやく。このままではバルフィが犯人にされてしまう、逃がして欲しい、と。
そう、あんなに手を焼かされていたバルフィだけど、ここでも彼の不思議な魅力が人を惹きつける。

シュルティは自分の結婚をなげうってまでバルフィを選んだ。

だけど本当に切ないんだ。すでにバルフィの心はジルミルにあったから。あんなにシュルティのことだけを想っていたのに、あの時婚約者を選んだシュルティに絶望したバルフィの気持ちも悲しいし、やっと自分の気持ちに素直になったシュルティが、すでに彼の気持ちが自分にないことを認めるのも悲しい。

ジルミルの遺品からページが抜き取られてることに気付いたバルフィ。そこに書かれていた数字を調べると、電話番号だった。ジルミルが育った養護施設へ向かう二人。
そこにジルミルがいると確信するバルフィ。だけど傷ついたジルミルは隠れたまま。

諦めた帰路。自分の心に正直になったジルミルが「バルフィ!!!」と叫ぶ。耳の聞こえないバルフィにはその声は届かない。あの時のシュルティの表情が本当に切ない。この声は自分にしか聞こえない。このまま聞こえない振りをして帰れば、もしかしたらバルフィの心は自分に戻って来るかもしれない。
そんな葛藤が見える。
あの時も自分の心に嘘をついてバルフィを失ったのだから、今回も嘘をついてそのままバルフィを自分のモノにしてしまえばいい!と、私は願ってしまった。
それくらいシュルティは美しいんだもん。

なのに、シュルティは正直に振り返ってしまった。

映画の冒頭、どうやらバルフィが自分の写真を撮るところから始まって、そして手話を教える老いたシュルティが電話を取って泣き崩れる。
そして警察がジルミル誘拐犯としてバルフィを追いかけるシーンになって、そこから逆戻りして物語がスタートしたので、若干迷うこともあったけど、シュルティがあの日振り返ってからのその後がそこから映される。

バルフィとジルミルはそれからは二人でいつも一緒に養護施設で働くんだよね。そんな二人をサポートし続けたシュルティ。
彼女がずっとずっとバルフィを見つめてきたことは飾られた写真を見れば分かる。二人を応援し続けたことも。

危篤状態になったバルフィの元へみんなが集まる。
そこにはバルフィとの恋を反対していたシュルティの母もいた。このシーンも大好き。
あんなに反対していた母にも、忘れられない人がいた。そのことに嘘をついて娘には反対し続けたけど、シュルティには分かっていた。
あるシーンで母に「ママが森に出かけるのは、彼をまだ愛してるからでしょう」、あの一言好きだな。
自分も心に嘘をついて結婚して失敗したのに、娘にも言ってしまった母親。だからこそ、シュルティが結婚を投げ出してもバルフィの元へ行ったことを、なんていうかな、ようやく、やっぱり娘もそうだったか、って認められたっていうのが嬉しかった。

母親も本当は分かっていたはずなんだ。だけど、親として生活のこととかを考えると、どうしてもバルフィでは不安だったんだろうね。そんな親心も分かるだけに切ない。
この母娘は揃って自分の心に嘘をついて失敗してしまったんだよね。でも遅かったけどシュルティは素直になれたし、母親も恐らくあの後素直になったんだろうな、って思う。

想いは成就しなくても、後悔し続けて結婚しているよりも、夫と離れるその勇気。
ハッピーエンドとしてもいいくらい。



posted by じゃじゃまま at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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