2014年03月29日

【さよなら渓谷】

《★★★☆》

吉田修一原作の映画。原作は未読だけど、吉田氏作品は奥が深いね〜〜〜。男女の愛というか。

ごく普通に見える夫婦。だが二人は残酷な事件の被害者と加害者だった。

寂れた感じの市営住宅に連日マスコミが張り込んでいる。隣人が自分の息子を殺害したとして、取材するためだった。
母親が逮捕された数日後、隣の家の男が事情聴取を受ける。母親の不倫相手で、実は殺害を教唆したのでは、と疑われていたのだ。
一人の記者、渡辺が、その男、尾崎の周辺を調べ始めると、尾崎は過去に集団レイプ事件を起こしていた。
後輩記者の小林と共に、尾崎とその妻、そして15年前に被害者となった少女のその後を調べていくと、悲しすぎるほどの愛に行きあたってしまう。

そもそも隣人の息子殺害事件なのに、尾崎が疑われ、その過去を調べたら集団レイプ事件の加害者だった、って余計なお世話だよね、尾崎からすれば。
でも、とっても複雑で深い男女の愛だよね。

憎くて、許せなくて、ついてこないで!と何度も叫びながらも、そばにいて欲しい。
そばで不幸になって欲しい。かなこと尾崎は、不幸になるために一緒にいる、それなのに、二人に芽生えたものは、やはり愛だよね。
かなこが警察に通報する。隣人の女とは無関係なのに、尾崎を共犯として。

だんだんかなこに対してムカついてくるんだけど、本当に複雑だよね。無実の夫を通報する。
過去にレイプした尾崎への罰として、そして実は愛し始めていた尾崎への愛を自身に試すために、なのかと思った。
そして、無実の夫を警察に売ったかなこに対し、尾崎がどう出るのか。

愛想を尽かされてもいい、それともそんなかなこをまた尾崎は受け入れるのか、試したのだと思った。

尾崎を試し、そして自分自身も。

幸せになればいいじゃん、って二人。壊れそうなガラスでできた愛だけど、大事に二人で守って行けばいいじゃんって思うんだけど、かなこ(夏美)はやっぱり、もう一度尾崎から逃げるんだね。

逃避行の始まりに、ついてくる尾崎を何度も何度も「ついてこないで!!」と叫びつつも、待っていたように。
もう一度尾崎から逃げてみる。そして尾崎は、夏美を追う、んだよね。

渡辺が問う。
「あの頃に戻れたら。事件を起こさない人生と、夏美に会う人生と、どちらを選びますか」

尾崎の言いたげな表情のシーンで終わる。なんと答えるつもりだったのか。

私は「もちろん、夏美と出会う人生」って言うと思ったけど。
吉田修一作品は、なんと、なんと奥深いことか!




posted by じゃじゃまま at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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