2014年02月09日

【小さいおうち】

《★★★》

タキおばあちゃんの葬儀から始まる。
苦労した人生で、最後はあんなに寂しい終わり方じゃなくてもよかったのに、って甥の娘である康子が言う。
そうなのか?って思わず見入ちゃった。
どうやら、台所の隅でうずくまるようにして亡くなっていたらしい。

遺品整理をしている中、康子の弟の健史宛てに箱が見つかる。
そこには、健史に勧められて書いていた回想録が入っていた。

女中というと聞こえは悪いけど、昔はれっきとした職業だった。嫁入り前の修業としても当たり前のように認識されていて、タキは、口減らしのために女郎屋に売られる子もいる中、器量が悪いせいで奉公に出された。
あまりにも明るく楽しいタキの回想録に、健史は「おばあちゃん、嘘ばっかり書いちゃ駄目だよ、戦争前にこんな楽しいわけないよ」とか文句を言うけど、タキの「なにもそんなことしてないよ。自分が器量悪かったって、ちゃんと書いたじゃないか」って、なんとも二人の会話は温かく楽しい。

どうして、こんなに優しそうなおばあちゃんが、寂しい最後なのかな?って違和感を感じつつも、それは最後まで取っておく。

タキが奉公することになった赤い三角屋根の洋風の小さいおうち。そこには時子という若く美しい奥様と、玩具会社に勤める旦那様、そして恭一おぼっちゃまがいた。
その小さいおうちで起こる、小さな事件。それが大きくタキの心を覆い、その後の人生に重しとなっていった。

小さな事件。それは本当は小さくなんかない。夫の会社のデザイナー、板倉がやって来て時子と出会う。
夫の連れてくる他の社員とは雰囲気の違う板倉に、興味を覚え、次第に惹かれていく。
妻の心の変化にまったく気付かない夫。タキも、周囲の者も気付いていたというのに。
やがて板倉はしょう兵されることとなり、時子は最後にどうしても板倉に会いに行くという。
それを止めるタキ。時子から手紙を預かり、板倉に渡す約束をするが、板倉は来なかった。そのまま戦争は激しくなり、タキは故郷へ帰ることとなり、平井家とはそのままになってしまった。

戦後、いてもたっても居られなかったタキは時子たちを探しに上京するが、そこで聞いたものは、大空襲の際、旦那さまと時子奥様は抱き合って亡くなっていた、ということ。恭一坊ちゃんの行方は最後まで分からなかったという。

それからタキは、悔やんでも悔やみきれずに、胸に大きな秘密を抱えて生きてきた。

タキの死後、その秘密を思いがけず知ってしまった健史。タキから託された箱の中に、かつて時子が板倉に宛てた手紙が入っていたのだ。そう、タキは手紙を渡さなかった。
私は原作を読んでいないから、分からないけど、タキは板倉が好きで、二人の恋路を邪魔したくて渡さなかったのかと。
だから戦後、板倉が生きて帰ったことを知りながらも、そっと孤独に生きていたんじゃないかな。このまま一人で死んでいくことが、二人を邪魔したことの償い?だと思ってたんじゃないかと思った。

そうすることで自分に辛さを与えて、自分は幸せになってはいけないと、そう思っていた、と。

ラストに、健史が恭一の所在を突き止め、会いに行き手紙を渡すんだけど。誰がどう見てもそれは時子がかつてタキに託した手紙って分かるじゃん。
それを恭一の前で、どうぞ、って、勘の悪さに思わず笑った。まあ、そういう話の展開なんだけど、それにしてもね。
恭一も「この歳になっておふくろの不倫の証拠を見るとは・・・」って。まったくもってその通り。

小さいおうち、そういえばタキの部屋に飾られていたでしょう。あれはなんだろう?板倉に会いに行ったのかな。その辺は映画では描かれてなかったので分からないけどね。


posted by じゃじゃまま at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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