2013年12月26日

【あなたへ】

《★★☆》

刑務所の刑務官だった男が、妻の遺言で、妻からの最後の手紙が長崎県のとある郵便局留めになっていること、そして故郷の海へ散骨してほしいこととなっており、一人、妻はなにを伝えたいのか分からないまま旅をすることとなる。

高倉建と田中裕子は夫婦で、堅物で一生独身と言われていた高倉建演じる刑務官は、慰問で童謡の歌を歌いに来ていた田中裕子に惹かれ、後に結婚する。

だけど田中裕子は慰問じゃなかったんです、たった一人のために来ていたんです、と打ち明ける。刑務所で受刑者が死んだ。その遺品から出てきたハガキ。
高倉さんが亡き妻から受け取ったハガキと同じ絵が書いてあって、そうか、田中裕子の愛する男は受刑者の中にいたんだな、果たしてそのことを高倉さんは、妻が死んでから気付いたのか、死ぬ前に気付いたのか。

過去と現在が交わるんだけど、いかんせん、高倉さんはどの時代を見てもやはり高齢なので、結婚前、結婚後、妻の生前か、死後なのか、区別がつかなくて分かりません。

でも竹田城のシーンで、「あの人を忘れさせてください」って高倉さんに言うシーンがあって、だから結婚前から妻には愛する男がいることは知っていたんだろうな。刑務官の妻に、かつて受刑者の内縁の夫がいてもよかったのか分からないけど。

で、旅の途中でいろいろな出会いがあり、辿りついた妻の故郷。受け取った最後の手紙には、たった一言「さようなら」って。そりゃ、なんだよ。

高倉さんは「分かった気がします」って言ってたけど、私にはさっぱり妻の気持ちが分からない。
旅をさせておいて、渡した手紙には「さようなら」の一言????
私には、すごく切ない可哀相なラストに思えた。

なんていうか、子供も望まず、夫以外の男をずっと心に思っていたこんな私をもう忘れて、って。
そういう「さようなら」に思えた。
ずっと夫婦の間には遠慮っていうものがあって、高倉さんは心から妻を大事に愛していたのに対し、妻の田中裕子には、愛というよりも、遠慮というか感謝というか。

だから、ありがとう、そしてさようなら、って意味に取れたんだけど。遺骨を散骨するのだってそういうことじゃないの?
本当なら一緒のお墓に入りたいでしょう?

借金のために遭難したことにして保険金詐欺をした佐藤浩市。どのタイミングでか気付いて、食堂のおかみから預かった写真を渡しに行くラスト。
「受刑者が中の人間を使って情報を流すことを鳩を飛ばすっていうんですよ。今、私は鳩になりました」って。
その前に高倉さんは退職届をポストに入れるんだけど、あれはきっと真面目な高倉さんが、これから鳩になるためのけじめでしょう。

そうだ!食堂のおかみが、「うちの主人だったら亡くなった奥さんのこと知ってたかもしれないのに」って言ってたけど、奥さんのこと聞けばよかったのに。佐藤浩市生きてたんだから。

正直な男の孤独な人生の映画だったと、私は思う。


posted by じゃじゃまま at 16:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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